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私たちは、放射線技師4名で、医師の指示により、レントゲン撮影・CT検査・MRI検査・エックス線透視撮影・骨密度測定などの検査を行い、診断に必要な画像データを作成し、医師にその情報を伝える仕事を行っています。
CT装置で撮影するものは、ほとんどが人体です。内臓や骨、血管などの複雑で鮮明な画像を目にした方もいると思います。
ところで今回、ちょっと変わったものを撮影してみました。
普段目にしているものでも、どのように写し出されるのか見てみましょう!
平成26年8月よりGE社製64列マルチスライスCT660が稼働しています。これまでの機器にくらべ、高機能・高性能はもちろんですが、撮影時間の短縮や低被ばくの実現など、患者さんにとってもやさしい内容が特徴です。
CT(computed tomographyの略,コンピュータ断層撮影)を用いたエックス線検査です。CTスキャンともいいます。身体にエックス線を照射して、通過したエックス線の量の差をデータ化し、コンピュータで処理することによって体の内部を立体的に画像化します。
エックス線には、肺のように空気のたくさんあるところは通過しやすく、骨は通過しにくいという性質があります。そのため身体の組織や臓器によってエックス線の通過しやすさ(透過性)は異なり、この差を利用して画像を作り出すことができるのです。このような装置はマルチスライスCTと呼ばれ、短時間で広範囲を撮影することができ、立体的な画像(3D画像)を容易に映し出すことができます。
エックス線は、ドイツの物理学者レントゲン博士が1895年に発見したものです。
「目に見えない光」、「未知の光」という意味で「X線」と名付けられました。ですから、正式な呼び方は「エックス線」ですが、発見者の名前をとって「レントゲン線」とも呼ばれています。
つまり「レントゲン」と「エックス線」は全く同じで、「レントゲン検査」・「エックス線検査」といった場合、どちらも同じ意味となります。
エックス線は、テレビや携帯電話の電波や暖房器具の赤外線、日焼けの原因となる紫外線などと同じ電磁波の一種で、紫外線よりもさらに波長の短いものです。医療の場では、エックス線撮影やCT検査に利用されていますが、このほかにも様々な分野で幅広く利用されています。
検査時には、CT装置の寝台にあおむけに寝て検査を受けます。撮影目的とする部位に正しくエックス線が照射されるように、ガントリーという大きな円筒状の穴の中に寝台ごと移動させて撮影を行います。
ガントリーの中では、エックス線管球(エックス線を出すところ)と検出器が向き合った形で配置されており、これが身体の周りをぐるりと回りながら信号をとっていきます。(これをスキャンといいます)検出器で受けたデータはコンピュータで処理され画像化されます。
CT検査では、身体を輪切りした断面像が得られるため、身体の内部の構造を詳しく調べることができます。
これまでのCT検査では、1つの断面(1スライス)をスキャンするのに1秒~数秒かかるうえ、目的の部位をもれなくスキャンするために少しずつ位置をずらし(寝台を少しずつ移動させ)何回かスキャンをしていました。検査時間は撮影部位によっても異なりますが、約5~15分かかっていました。
マルチスライスとは現在最新の方式です。今回当院導入のマルチスライスCT装置では、目的の部位をらせん状に一周し多数の断面を撮影することができるため、短時間で広範囲を検査することから患者さんの負担も少なくなりました。また、得られた断面像を再構成することにより、さらに高精度の3次元立体画像も得られるようになっています。
エックス線ときくと、なんとなくこわいと思われるかもしれません。 エックス線の被曝により発がんの可能性があることは事実です。
しかし、医療で使われるエックス線の量は通常に少なく、発がんの可能性は十分小さいものとされています。
エックス線以外にも日常生活の中にはタバコやお酒など、健康を害するものがたくさんあります。それらによるリスク(危険度)と比べてもエックス線検査によるリスクは決して高いものではなく、検査によって得られるメリットの方がはるかに大きいものがあるのではないでしょうか?検査の際には、目的とする部位以外に余分なエックス線が照射されないように放射線技師が工夫して撮影を行ないます。
また、最近のCT装置は、さらに少ないエックス線量で撮影できるように改良されていますので安心して検査を受けて下さい。 ※ ただし、妊娠している女性の場合には、注意が必要です。妊娠している方やその可能性のある方は診察の時または撮影前などに必ずそのことを医師・放射線技師に伝えて下さい。
エックス線(管球)により透過された身体のデータ信号を、検出器が読み取り(スキャン)画像化されます。
さて、この検出器が読み取れる「幅」はどれぐらいだと思いますか?
少し前までは1cmが主でしたが、近年の技術の進歩により1cmを16分割した0.625mmが現在の幅となっています。その幅の検出器を64個並べて一度に4cm幅を検出できるのが64列CTです。
これまでは4列でしたので、今回の新CTは、16分の1の時間で撮影できるということになりますね。