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和田 康さん(55歳)
家族構成/単身・猫2匹
出身地/高知県高知市
移住時期/2024年12月
埼玉県から四万十市へ移住し、海辺の暮らしを楽しむ和田さん。定年を待たず第二の人生をスタートさせ、大好きな釣りが日常になった生活とは?
もともと高知市の出身で、20歳で東京に出ました。仕事もバリバリやっていましたが、50代になったころから高知に帰ることを考え始めました。思い出すのは子どもの頃、楽しく釣りをしていたときの記憶です。父が船を持っていて、子どものころは毎週のように釣りに出かけていました。
小学生のときにはひとりで自転車で須崎市まで行って釣っていたくらいです。でも、関東に住んでいる間はほとんど釣りに行きませんでした。海まで2時間かかるうえ、汚れていて、釣っても食べたいと思えなかったんです。
娘が大学卒業して自立する時期を目標に、2〜3年前から、お試し住宅などを利用して長めの休みのたびに高知を巡っていました。室戸岬から海沿いに車で移動しながら、釣りスポットや生活の利便性がちょうどいい地域を探していったんです。東京で開催された移住フェアにも3回行きました。
そんな中で出会ったのが、四万十市の空き家でした。広い庭、サンルーム、土間、倉庫、縁側、日当たりの良さ……理想的な家でした。猫2匹がのびのびと過ごせる環境なのも気に入っています。
家から徒歩270歩で海まで行けて、いつでも釣りができます。イカやタチウオなど魚種を決め、少し足を延ばして隣町まで行く楽しみもあれば、何も決めず家の前の海に行き、釣れなければ時間や場所を変えて再チャレンジが簡単にできるのがうれしいですね。
ひとり暮らしの高齢者が多い地域ですが、みなさん若々しくて元気。野菜や文旦をいただいたくことも多いので、お返しに釣った魚をおすそ分けしています。
ある日、まったく知らない近所の方が訪ねてきて、「船をやるから免許を取れ」と言われたことも(笑)。話を聞くと、釣りが好きだけど高齢で釣りに出られなくなったから、自分の船を誰かに使ってほしかったようです。ちょうど船舶免許を取ろうと思っていたので、ありがたくお話を受けました。
東京では人が多い分、関係が薄くなりがちですが、田舎は人が少ない分、関係が濃くコミュニケーションも早いですね。人とのつながりの大切さを感じています。
今から夢中になる予定なのは、川漁です。「四万十川大人塾」に通って、川漁のやり方を教えてもらっています。漁業権も買って、道具も一通りそろえて準備はばっちりです。毎日、投網の練習も楽しくやっています。
あと、ドローンを持っているので、地域のイベントに呼ばれて四万十川を空から撮影したり、子どもたちに操縦体験をしてもらったりもしています。四万十の山や海の空撮はやっぱりとてもきれいです。いずれは、ドローンを使って農薬の散布など仕事にもつなげていけたらいいですね。
自分自身、「もっと早く来ておけばよかった」と思っているので、できるなら早く行動したほうがいいと思います。55歳で区切りをつけてこちらに来ましたが、小学生のとき以来の“わくわく感”が毎日あります。釣った魚をその日の晩に刺身にして、晩酌しながらYouTubeで釣り動画を見ている時間が最高です。やっぱり、やりたいことができる時間が長い方が幸せですよね。私はここに骨をうずめるつもりです。それくらい、この暮らしが気に入っています。
※このインタビューは2025年5月現在の内容です。