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篠田 智洋さん(47)
出身地/四万十市
移住時期/2022年5月
中学卒業と同時に高校では寮に入ったので、実に35年ぶりに地元に帰ってきました。
高齢の両親が心配だったことや、お盆や正月に帰省するたびに地元の様子がなんだか寂しくなっていくのを感じていたので、何かできないか、と思ったことがUターンを考え始めたきっかけです。
昔は子どもたちが田植え前の田んぼで泥んこになってたり、秋祭りで踊ったりしていましたが、小学校が廃校になってそんな光景も見られなくなりましたね。
帰るなら仕事は農業だろう、と思って市役所に問い合わせたら、たまたま西土佐農業公社のミッションの地域おこし協力隊の募集があることを知って応募しました。
高松の通信業界でずっと働いていたので、農作業をやったことは一度もありません。
先に退職した同僚が愛媛県で就農して「農業はええぞ」と楽しそうに話してくれたことや、地元で営農組織を立ち上げる話が出た時に、若手の後継者がいないので帰って来るなら一緒にやろう!と地元のおんちゃんに声をかけてもらったことも後押しになりました。
仕事は農業公社に出勤しての農作業がメインです。今はハウスのトマトや米ナスですね。
もともと農業に興味があるかないかと聞かれたら、どちらかというとなかったのですが、体力はありますし、体を動かすことはやりたかったことなので楽しいです。
農業公社のInstagramで情報発信もしています。前職ではイラストレーターやフォトショップを使っていましたし、帰るなら手に職をつけたいと思い、副業を兼ねて動画編集も覚えました。
業務とは別で、家の近所の耕作放棄地では栽培にあまり手がかからないと教えてもらったパパイヤを植えてみました。自分ではパパイヤを植えようなんて考えもしなかったと思います。台風で倒れてしまってなかなか思い通りにはいきませんが…。
協力隊になってよかったのは、いろんな人とつながりができて、アイデアをたくさんいただけることですね。
来年、順調にいけば米ナス農家として新規就農します。資材の高騰もあり、思った以上に大変そうだという現実も見えてきました。
農業だけで食べていくのではなく、観光業も含めた「半農半観」を考えています。四万十川の支流の中で最も透明度が高いといわれている黒尊川流域の強みを活かしていきたいですね。
奥屋内下集落の集会所は五右衛門風呂もついた宿泊施設「黒尊川清(さや)いろの里」として活用できますが、今は休業中です。
こういった施設や耕作放棄地を活用して、半農半観を私ひとりでやるのではなく、田舎で農業をやりたい若い人の受け皿となるような組織を作れたら、地域を盛り上げることにもつながるのではと思ってます。
移住も農業も夢見てたような良いことばかりではないですし、現実には大変なことも多いです。だからこそ、前向きにやっていくことが大切だと思っています。
農業は一人でやるイメージが強いですが、一人ではできることに限界がありますし、心が折れることもあります。
もし、移住して農業で食べていきたい、という同じ思いの人がいるなら、一人ぼっちじゃない農業を一緒に切磋琢磨して頑張っていきたいですね。
▼四万十市西土佐農業公社HP
http://nishinoko.jp/<外部リンク>
▼四万十市西土佐農業公社Instagram
https://www.instagram.com/shimanto_nishinoko/<外部リンク>
※このインタビューは2023年8月現在の内容です。