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猫なで声(令和5年2月号掲載)

更新日:2023年2月6日更新 印刷ページ表示

~ 猫なで声~

 仕事から帰った妻が猫に話しかけている。聞いたことがないような優しい声で。
 「ただいま。いい子にしよったかね。ご飯食べたかね。お父さんにいじめられんかったかねえ。」最後は虐待の容疑までかけられた。
 動物虐待は罪である。人に対する虐待ももちろん罪である。本来、子どもを守るのは親であり、周りの大人である。それが加害者である場合、逃げ場所のない子どもはどうすればいいのか。
 いま、虐待や育児放棄によって悲惨な事件が起こっている。報道などによると、ほとんどの場合、地域からの通報で学校、保育所、児童相談所、警察などが一度は家庭を訪れたりしている。それでもなお、悲惨な結果を防ぐことができないこともある。
 子どもの体に不自然な外傷等があって、虐待が疑われても、それ以上家庭に踏み込んでいけないのが現状であろう。子どもがどれだけ苦しんでいたか、我々は事件後の報道を通じて知るのみである。果たして、その前にできたことは本当になかったか。
 事件後の検証はもちろん大事だが、「事件前」の検証はもっとはるかに大事である。

 

四万十市人権教育・啓発講師 光内真也