ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > くらしの情報 > 人権 > 広報掲載人権コラム > クリスマス(令和4年12月号掲載)

本文

クリスマス(令和4年12月号掲載)

更新日:2022年11月25日更新 印刷ページ表示

~ クリスマス~

 おなじみのクリスマスソングの歌詞のように“雨は夜ふけすぎに雪へと変わる”ことは四万十市ではめったにないが、この季節になると、なぜかちょっとうきうきする。
 枕元に欲しかったゼンマイ仕掛けのロボットが置いてあった60年前の朝、12月25日は私にとって特別な日になった。サンタクロースがなぜ自分の欲しかったものを知っていたかは考えもしなかったが、今はただ、子どもの夢を大事にしてくれた「住職」だった父に感謝しかない。
 純粋だったあの頃の私も様々な経験をし、無垢でありつづけていくことが許されなくなってきた。純粋な心を持ち続けたい気持ちはあるが、現実にはもっと社会を知らなければ生きていけない。そして世の中の不条理やそれによって引き起こされる「差別」を知れば知るほど無垢な心は失われていく。残念ながら、それが大人になるということなのだろう。
 人生をふりかえってみるに、いつの時も本当は幸せだったのかもしれない。私は今の自分をそれほど幸せだとは思っていないが、何年後かに本当は幸せだったと多分言うだろう。
 そう思うと、幸せを実感できないまま幸せの中にいた「あの頃」を思い出させてくれる「今」が、父からの本当のおくりものかもしれない。

 

四万十市人権教育・啓発講師 光内真也