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人権コラム(令和3年12月号広報掲載)

更新日:2022年5月9日更新 印刷ページ表示

~ 賢者 ~

 東京オリンピックの開会式の入場曲にも使われた有名なテレビゲームの中に、転職システムというのがある。「魔法使い」や「僧侶」を極めたら「賢者」になれるというやつである。リアルの世界でも賢者になりたくて何十年も僧侶をやっているが、そう甘くはない。仏教を学ぶうちにこんな言葉に出会う。
 賢者は、内は「賢」にして、外は「愚」なり、愚者は、内は「愚」にして外は「賢」なり。
 愚か者ほどかしこくふるまう、というのだ。ならば、私は賢者にはなれそうもない。年を重ねて、「謙虚」という言葉が理解できても、心の中は「謙虚」とはいいがたい。人にほめられたい。いい人と言われたい。悪口を言われたくない。これが本音だ。
 外面(そとづら)をうまく見せるのに精一杯なので人の痛みなど、あまり考えたことがない。差別的なことを言う人を見ても、自分に関係がなかったら、とりあえずスルーしてしまう。今思うと、あの時、勇気を出して間違いを正すべきだった、と後悔するが、遅い。
 だから「賢者」にはなれなくても、せめて、人の痛みがわかり、目の前のいじめや差別に、「それは間違っている。」と言える「勇者」になろうと思うこの頃である。

 

四万十市人権教育・啓発講師 光内真也