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命の恩人(令和8年10月号掲載人権コラム)
更新日:2026年9月16日更新
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~命の恩人~
若い時、体の不調で病院に行った。脈拍は200を超え、動悸、吐き気で「死にそう」な感じがした。不思議なことに受診時には収まり、健康な状態に戻る。その繰り返しだった。ある時、診察中にカルテを見ると、ひらがなで「おおげさ」と書いてあった。せめてドイツ語で書いてくれたらよかったのに。中年になってもそれは続いた。
ある時、医師から「過労が原因だから、仕事を辞めなさい。」と言われた。「この苦しみは誰もわかってくれない。」と悩んだ。死ぬかもしれないと苦しむ中で「こんなに苦しいなら、死んだ方がましだ。」とさえ思った。
何年かして、心療内科の著名な医師が四万十市にやってきた。藁をもすがる思いで受診した。その医師が最初に言ったのは「長い間しんどかったでしょう。これからは一番しんどいと思うものから楽にしていきましょう。」という言葉だった。
今思うと、その一言で私はすでに救われていたのかもしれない。苦しんでいる人に、最初に言うべきは「本気で相手を思いやる」言葉でなければならないことを私はその医師から学んだ。
ちなみにパニック障害の苦しさを完璧に人に伝えることができるなら、私はそれにノーベル文学賞をあげてもいいと思う。
四万十市人権教育・啓発講師 光内真也



