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そそくり(令和7年12月号掲載人権コラム)
更新日:2025年11月26日更新
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~そそくり~
「そそっかしい」と「あわてんぼう」を一緒にしたような言葉。私はこの地方の方言で「そそくり」とよく言われた。小学1年の通知表には「落ち着きがない。」と、はっきり書かれている。年金がもらえる年になって、直ったかといえば、そうでもない。慌てる場面がよけい増えている気さえする。物忘れを防ぐサプリを飲んでいるが、飲んだかどうか覚えてない。衰えていくのは仕方ないが、受け入れることは難しい。
高齢化社会を生きる。言うは易いが、現実は厳しい。この国では、老人にあまり敬意を払わないような風潮がある。若い時の私がまさにそうだった。「みんなそうなる」ことを、真剣に考えなかった。
大リーグではかつてのスター選手を現役のスターよりも大きな拍手で迎える。そこにはこのレジェンドが「熱狂の歴史」を作り上げてきたという「功績」に深い感謝がこめられている。「リスペクト」の本当の意味がここにある。
カラオケでいまどきの歌を歌っていると、若く見られたりする。「そそくり」の私はそれで、勘違いして、「いい気」になる。いい気になると明日への活力さえ湧いてくる。老いた自覚がないだけかもしれないが、人生がちょっとひらけたように感じる。
要するに、もう少し「老いた自覚」のない自分を楽しみたいのだ。
四万十市人権教育・啓発講師 光内真也



