2月11日(土)、市立中央公民館で、「はたのおと 研究発表会2012」が開かれ、市内外から100人あまりが参加しました。
 「はたのおと」とは、幡多地域(高知県西南部)の文化や自然にはまりこんでいる人たちによる研究発表会のことで、会の名称は、幡多(波多)のことを記録する「ノート」と、地元から発信する「音」の双方の意味を持たせたものです。
はたのおとホームページ http://www.hata-chiiki.net/
 
取材・撮影:2012/02/11


 「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに」をコンセプトに、さまざまな分野の研究者、専門家、学生らが、幡多の魅力をいろいろな角度から発表し、楽しく語り合う場となりました。


秋山梢(村おこしNPO法人ECOEF理事、田舎で働き隊)
都会から地域へ!:村おこしNPOでみえてきたこと
 大学の探検部での活動をとおして、都会にはない田舎の温かさに出会ったことをきっかけに「村おこしNPO法人ECOFF」を立ち上げ、これまでトカラ列島、屋久島などで農業ボランティアの活動を行ってきました。
 また、昨年9月末より、「田舎で働き隊」として、四万十学舎(西土佐中半)を拠点に農業、林業のボランティア活動をするほか、地域のイベントへも参加をしています。
 自身の体験談をふまえて、村おこしに貢献したり田舎暮らしをするうえでは人との出会いと繋がりを大事にしていかなければならないことを発表しました。

 

■「村おこしNPO法人ECOFF」 http://ecoff.org/
■「田舎で働き隊」(農村活性化人材育成派遣支援モデル事業) http://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/zinzai/index.html

河ア 朋(NPO法人 黒潮実感センタースタッフ)
柏島に暮らす人達:島に移り住んで見たこと聞いたこと

 大学卒業後、水族館飼育員として働くなかで、柏島(幡多郡大月町)の豊かな自然海、生き物たちに出会い、その美しさに魅了され、黒潮実感センターの職員としてガイドを行うようになりました。
 その中で、豊かな自然と共存しながら、昔ながらの生活を大事にし、お互いが助け合って暮らしている地域の人々に魅力を感じるようになりました。
 ここでは、河アさんが実際にあった人たちを紹介しながら、柏島の人たちが大切にしている島への気持ちを知ってほしいと発表しました。

中村こども劇場
子ども、文化、自然を通して社会を見つめる

 今年で31年目の活動を迎える中村こども劇場は、「子どもたちに夢を!たくましく豊かな創造性を!」をキャッチフレーズに、子どもたちに豊かなこころを育んでほしいという想いで、観劇や自主活動を行っています。
 「観劇」は幡多地域で触れる機会の少ない生の「美術」「音楽」「舞台」を鑑賞することで情緒豊かに育ってほしいという想いのもと、会員制で年4回の定期公演を行っており、ただ鑑賞するだけではなく、親子が一緒に準備や後片付けを行ったりするなど、参加型のイベントになっています。
 一方、「自主活動」は幡多で触れる機会の多い自然を活かして、森の活動や「こども料理教室」(左写真)を行っており、それらの自然を育む活動を通して「人」を育てるとともに、子どもたちに幡多のすごさを感じ取ってほしいと発表しました。

四万十高校自然環境部 1年生
四万十高校生と四万十の生き物

 昨年度の発表会では「四万十川流域のアミカ(網蚊)科幼虫」をテーマに発表した四万十高校自然環境部。
 今年は四万十市での発表ということもあり、はじめに生徒が独自に調査した「幡多度アンケート」の結果が発表されました。言葉や食べものの味付けについて、それぞれの地域ごとで差があることが分かり、特に一條神社のことが余り浸透していないという結果には会場から今日一番といっていいほどのどよめきが起こりました。
 その後、四万十町大正の「結の森」や学校周辺で調査した動植物の種類や分布について発表しました。

松野靖子(AQUAS/高知大学大学院海洋生物研究室)
柏島の魚類相と黒潮の関係
 スキューバダイビングで柏島の魅力に取り付かれ、現在は大学院に社会人入学して、柏島の海に生息する生物の研究に取り組んでいます。
 なぜ柏島周辺の海域に海外でしか生息しない種や未記載種(新種)が現れ、約1千種(日本一)におよぶ魚種が存在するのかということについて、黒潮や海流との関連性をふまえて発表しました。
 今後は柏島で発見された未記載種を発表するなどして、最終的に1,200種の生物リストを作成したいと抱負を述べました。

中地シュウ
(財団法人黒潮生物研究財団 黒潮生物研究所 主任研究員)
宝石珊瑚漁で混獲される深い海の生き物たち
 四国西南部を中心に海域環境や海洋生物相についての調査研究に取り組んでいる中地さん。
 幡多・伊予の浅海域における棘皮動物(ウニ、ヒトデ、ナマコなど)相調査により、これまで奄美以南でしか発見されていなかった種や、採集例が稀少な種が多数記録されたことから、地元で珊瑚漁を操業する漁師さんの協力を得ながら、水深100m前後の宝石珊瑚漁の混獲生物調査を行っています。
 ここでは、その調査で発見されたさまざまな種類のヒトデやウニを紹介しました。
 海洋無脊椎動物相の調査をとおして幡多の海を日本一有名なものにしたいと抱負を述べました。

田城松幸(自然観察指導員)
幡多の植物:高知県植物誌の調査をとおして
 『高知県植物誌』は県内に自生する約3170種類の植物を網羅したもので、その編集の過程において初めて確認された植物や、それまで絶滅されていたと思われていたものを再発見することができました。
 田城さんはこの本の作成のための調査に関わった経過をふまえながら、幡多地域に生息する植物について説明しました。
←デンジソウ(田字草)
かつては全国各地の水田等でよく見かけられたが、開発や農薬汚染などが原因で減少、今では高知県レッドデータブックで絶滅危惧T類−A類に指定されており、県内では唯一四万十市川登のみに自生。

谷口平八郎(日本民話の会)
幡多 民話の心 風土
 これまで『幡多昔むかし』(1990年)、『幡多昔むかし〜四万十川流れて〜』(2011年)の出版に携わってきた谷口さん。
 幡多地域に伝わる昔話、伝説、世間話を紹介しながら、昔から伝わる民話を家族の団欒をとおして、後世に伝えていくことの大切さを説きました。
 後に行われたトークセッションでは、会場の人からのリクエストで幡多郡三原村に伝わる「せんば乗りのやっさん」のお話を朗読されました。
『幡多昔むかし〜四万十川流れて〜』
 幡多地域に伝わる昔話などを高齢者などから聞き取り、新たに発掘したものを中心に、民話(世間話、伝説、笑い話など38話)と風土・暮らし(10話)に2分類して収録。
 民話はすべて幡多弁で書かれています。

畦地和也(黒潮町職員)
海辺の日曜市からみえてきた小さな経済の重要性
 「海辺の日曜市」は、毎月第二日曜日に土佐西南大規模公園(大方地区)体育館横で開催されており、風土に根ざした地域産品を創造することにより、エコロジカルで堅実な地域経済を支援し、地域に賑わいを生むことを目的に、毎月第二日曜日に開催されています。
 畦地さんは2009年よりこの企画、運営に携わっており、生産者が顔をだして販売することの重要性や、多様な人が市場に集まることにより、地域の交流が広がり、ひいては集落・コミュニティの活性化につながっていくことなどを発表。
 最後にはしっかり、翌日(2月12日)に開催される「海辺の日曜市」のPRをしました。


畦地履正(株式会社四万十ドラマ代表取締役)
しまんとRED&四万十方式集客方法
 「四万十川に負担をかけないものづくり」をコンセプトに地域と密着し、自然循環型企業を目指した事業を展開している(株)四万十ドラマ。
 すっかりおなじみとなった「四万十川新聞バッグ」より、しまんとREDの和紅茶を使ったさまざまな製品を次々と取り出しアピール。
 特産品を開発するにあたっては、自らの足元を見直して、ただ情報を発信することだけでなく、「ここだけしか手に入らない」という価値をも付加し、実際に四万十に足を運んでもらうことも考えなければならないと発表しました。 
 会場には、これから発売を控えた新製品も用意されました。

 全員の発表が終わった後は、トークセッションで、会場に来た人からの質問にそれぞれの発表者が答えました。

 休憩時間には和紅茶、宿毛の魚米粉スティックや、生姜を使ったケーキなどがふるまわれました。

 参加者にはひのきの香り板と、なべ敷きがプレゼントされました。
 

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