旧暦7月16日、山の神を祭っている十代地山で行なわれる大文字の送り火。今年は8月20日(土)に行なわれました。
取材・撮影:2005/8/20

 大文字の送り火は約500年前応仁の乱を逃れて中村に下った一條教房の息子、一條房家が教房と祖父の兼良の精霊を慰め京を懐かしんで始めたと伝えられています。
 この行事は間崎地区の盆行事として地区住民が行っており、現在は地区にある7つの班が1年交代で準備にあたっています。当日は朝から日が射してきたかと思うと急に強い雨が降ったりというあいにくの天気の中で朝から準備を始めました。草刈りを行った後、雨よけがかけられた松明(たいまつ)を空をうかがいながら並べていきました。

 点火を待つ大の文字。松明にかぶせたビニールで文字は白く浮かび上がってます。


 「雨が上がってよかった。そろそろビニールをはごう。」
午後7時松明にかけていたビニールをとり、後は点火の時を待つばかりです。その時怪しい雲がゆっくりと近づいてきていました。
 「天気よ、なんとかもってくれ。」
祈るような気持ちで地区の方たちは空を見つめていました。

 午後7時20分煙火の合図とともに点火。そのとき、心配していた雨が降ってきました。

 「雨がきたぞ。気を付けて。」
 2人ずつ3組の男たちが火を手にしました。
 「何度も火をつけている仲間ばかり。ベテラン揃いだから緊張はしない。全然平気」と笑って話していた人も点火の瞬間は真剣な表情に変わりました。


 点火と同時に降り出した雨に最初は火がつきにくかったのですが、徐々に炎は勢いを増し夜の暗闇に筆順どおりに力強い大の字が描かれていきました。

 しっとりと雨にぬれた通りに浮かび上がった大文字。
 山の上でみる火がうそのように通りからみる大の字は幻想的です。
「500年以上続く歴史と伝統のあるこの行事を自分たちの手で守っていきたい」という住民の思いで行なわれた大文字の送り火。今年も見る人を500年の時を越え、いにしえの世界へといざないました。そして徐々に薄れゆく大の字とともに小京都中村の夏が終わりを告げました。

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