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人権コラム(令和元年7月号広報掲載)
人権さまざま 166
NHKBS洋画を毎日たのしみにみています。パソコンでつかれた脳を休ませようと、つけたテレビに、西部劇が上映されていると、真に嬉しいかぎりです。単純明快なストーリー、スリル満点。ほんとうなら少年時代にみたかったのですが、その頃は不可能でした。映画館はお金がかかるうえに、学校の許可が必要でした。勝手に観ると校則違反でもありました。友人たちと回し読みした俳優名などは必死で覚えたものでした。
ジョンウェイン、ゲーリークーパー、バーグマン、モーリンオハラなど、昨日会ってきたような顔をして知ったかぶりの会話を友人たちとしたものです。しかし、ほんものの映画をじっくり鑑賞できたのは社会人になってからというのがほんとうのところです。
チャンバラ映画も好きでしたが、西部劇ほどではありませんでした。その違いを私は次のように考えています。
駅馬車や真昼の決闘などアメリカ映画の主人公は困難に直面するとすぐさま馬に飛び乗って、悪漢どものまっただなかに先頭切って突き進んでいきます。一方邦画の水戸黄門は「助さん格さん懲らしめてやりなさい」と命じて、あらかたやっつけさせた後に印篭をださせ一件落着となります。
いずれがすきかどうか個人差はあるでしょうが、日米の違いがはっきり表れていると思います。ともかく、大男で足の長いカウボーイは映画館を出たとたん足も長くなったような気がしたものでした。ジョンウェインもクーパーも永遠に歳を取らないばかりか、不死身のヒーローでした。彼らは私よりも、もう一世代年長でしたから、どんな生涯だったか気になりました。
亡くなったと報道された後に『ジョンウェインは何故死んだか』という本が出版されベストセラーとなりました。私も早速買い求めて読み、その内容に凍りついてしまったことを思い出します。
79年肺癌を征服後さらに胃癌と闘っていると公表、やせ衰えた彼がアカデミー賞の授与式に出席したとき、花束を贈呈したのは、かつての共演者モーリンオハラでした。あの美女もすっかり姥桜となっていました。
そのニュースが、生前の彼との最期となってしまいました。
〈次回に続きます〉。
四万十市人権啓発講師
山本 衞