広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成31年3月号 

★人権さまざま★ 162

   地球は誕生から46億年といいます。さまざまな動植物がうまれそこに人類もうまれました。

 動物たちは、他の動物を自分の食糧とし、弱肉強食を当然に生きてきました。ほとんどが他の生物の命をもらわねば生きていかれません。こんなものまで食うのかよと呆れるほどヒトも命をもらい生きのびてきました。鯨からナマコ、ウニまでも喰らい尽くしています。そのものたちに「生命権」があるものだとしたら、人間ほど見境もなくあらゆるものを喰っている動物は他にいないのではとおもいます。宗教家にかぎらず、よほど懺悔をしなければならない生き物といえるかもしれません。

 そんな思いもしている私ですが、ある日の新聞の見出しにおどろきました。『日本IWC脱退表明』商業捕鯨再開来年7月、の文字がおどっていました。

 鯨肉を食べる民族は世界でも少数派と聞いています。子どもの頃食べた肉の旨かったことは今も忘れていません。世界から捕鯨はしてはならないといわれ、わが国もその仲間の一員として極力つとめてはきましたが、最近鯨が増えすぎているとの見解から、そろそろ捕鯨再開もいいのではと折に触れ訴えてもいました。しかしながらよその国は、断じてまかりならぬの見解が多数を占めています。

 理由の一つに「鯨は高等動物」という考え方があります。牛や豚は殺しても何の疑問も持たない人々が、鯨はダメだという矛盾も感じられなくはありません。今さら鯨までむりに食わんでもという意見もききますが、それを生活の糧にしてきたという人達の考えもきいてやらねばならず、心は千々にみだれます。心配なのはせっかく世界的組織まで作って仲間入りしているのに、脱退とはおとなげないといえなくもありません。日本を敗戦国にしてしまった国際連盟脱退の歴史の暗闇までも思い出したりします。なんとかならないものでしょうか。若くして死んだ詩人金子みすゞに『大漁』という詩があります。

「朝焼け小焼けだ/大漁だ/ 大羽鰮の/大漁だ。/浜は祭の/ようだけど/海のなかでは/何万の/鰮のとむらい/するだろう。」

 鯨のとむらいのために世界中から武器を片手に日本まで押しかけられても困るのですが…。 

 命とは真に難しい問題です。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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