広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成30年9月号 

★人権さまざま★ 159

   「もしもし、お母さんいる?」
 「いらない」
 「お父さんは?」
 「知らない」
 
 電話の応対に出た子どもとのやりとりです。笑い話か実話かは分かりませんが、現代家庭の実態を知らせてくれる絶妙な会話です。こんな家族がいつ頃から実現したのでしょうか。でも、電話での応対で済んでいるうちはまだよかったのかと思います。いまでは笑うに笑えない、すっかり様変わりしてしまった家族の状況が、毎日のように報道され、これで限界だろうと思っていると、日替わりで飛び込んでくる親の幼児虐待のニュースに身も心も凍り付いてしまいます。いつからこんな日本になってしまったのでしょうか。
 
 東京都目黒区で、両親からの虐待により亡くなってしまった船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)。寒い夜ベランダに放置され、アカギレとシモヤケだらけの全身を一晩中耐えたこともありました。
 
 1月下旬頃より食事も十分に与えられず、やせ細った体は、医師の診察もなく、3月2日、肺炎と肺血症で死亡しました。
 
 父親の暴力に何の口出しも出来ずにいた母親も共に逮捕されました。
 
 死の直前まで毎日のように、切実な思いを大学ノートにつづっていました。その一部を抜粋します。

 『パパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりかあしたはもっとできるようにするからもうおねがいゆるして ゆるしてください おねがいします もうほんとうにおなじことはしません ゆるしてきのうぜんぜんできなかったこと これまでまいにちまいにちやってきたことをなおす これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだから やめるから もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします』 わずか五歳の女の子が、全身全霊で書き遺した文章を捜査官も泣きながら読み上げたといいます。(書き写しながら私もこみ上げるものがあります)
 
 友達ともやんちゃしながら、まわりに甘えながら、大きくなりたかったことでしょう。保育所にも行かれず―普通に大きくなれなかった結愛ちゃん。どんなにか辛かったことでしょう。
 
 小さなちいさな魂よ!安らかなれと祈るばかりです。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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