広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成29年10月号 

★人権さまざま★ 150

   2016年7月26日、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で殺傷事件が発生しました。警察・消防などと駆けつけた医師が死傷者を確認。刃物で刺殺されたのは施設の入所者(男性9人女性10人)であることが判りました。

 一年が経過し、「殺傷事件」と表現されてはいるものの犯人『A』の実名までは私は知りません。未解決のこの事件をここで取り上げることの是非について私は悩みましたが、あえて書くことにしたのは『人権」という事柄をもう一度考えてみたかったからです。

 Aはこの事件を一人で決行しましたが、ここに至るまで様々なことが判明しています。以前はこの施設職員として勤務しており、当時から「重度の障害者は人の幸せを奪い不幸をばらまく存在」などと発言し、職員とも衝突。「ナチスヒットラーと同じだ」と強く注意もされ施設からも自主退職となりました。
 事件決行前には同様の趣旨の文章を政府関係者にまで送り届けていたともいわれます。事が明るみに出て後に精神科に通院していたことや大麻吸引の事実などで精神障害も考えられ、犯人として責任をとれるのかどう
かは今後に残されています。

 しかしながら、「ナチス風の優生思想を肯定」しているかのような考え方は、絶対許されない思想であり、断じて受け入れることはできない考え方です。

 障害を持っていようがいまいが、人が人のために役に立っているかどうかは、だれにも判断することはできないことです。

 「おれくらい役に立つ人間はいない」といくら豪語しても実際は全く逆かも知れないし、役に立ったと思っても、あくまでも独り善がりにすぎません。

 よかれと思ってやったことでもマイナスでしかなかった体験は私にも何回かあります。

 あの夜、「A」に殺されても、何の反応も示せなかった障害者たちですが、両親や身内にとってはどんな宝玉にもまさる宝物であったことと思います。人の価値は人であるだけで百点満点なのだからです。

 人権とは百人が百人とも自分の生きる権利を主張できるもの、同時に他人からも絶対尊重されるべきものです。なかでも他人の命を奪うなどは断じて許されず、命をかけても償いきれるものではありません。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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