広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成28年4月号 

★人権さまざま★ 132

   この欄を受け持って、丸17年が経過しました。何もかも初めて、ずぶの素人でしたが、人権への思いを私なりにレポートしてきました。「普通の人の生きる幸せ」とは何かを考える歳月でもありました。法にあるからとか、偉い人がそういうからとかではなく、すぐ隣で見聞きした事柄をと、心してきました。

 人にはそれぞれ生きる上での野心や願いはあるでしょうが、どの世代にあっても、平穏無事、心安らかに、を願うはずです。「生・老・病・死」は大自然の摂理です。覆すことはなかなか困難です。限界のある人生ではあるが心穏やかに過ごしたい。また、過ごせる世であってほしい。そんな世の中を信じ、人々を信じ、課せられた人生を全うできる一生でありたい。

 老後は特に安らかでありたい。何事があっても、老人には必ず手をさしのべてくれる。世の中は俺たちの晩年を支えてくれる。そんな確信を抱きながら日々を過ごしてきたのは、私だけではないと思っています。

 身内はもちろんのこと、頼れる政治があり、病院があり、施設があり、何の憂いもなく、体一つを受けとめてくださる社会があるのだと、疑うことなく、信頼感に満ちて暮らしてきました。私の住む地域(全市)は、全て私のために、私を抱きしめてくれるものだと、幸せを確かめながら生きております。

 この信頼感、安心感のもてるこの地域に、俺のようなものでも、何か出来ることがあれば恩返しもしたい、どの老人もいつも考えながら暮らしているはずなのです。

 そんなときです。身の毛のよだつような報道が飛び込んできました。身を預けていた老人が、施設のベランダから投げ捨てられて亡くなったというのです。しかも三人も連続にです。

 全ての施設がそうだとは考えられはしません。しかしながら、あんなにも信頼し、命の全てを預けていた若い職員から、こんな仕打ちを受けるだなんて、口惜しく、悲しく、表現不可能なほどの腹立たしさに、流す涙も見当たりません。全国の老人はいま怒りと恐ろしさに震えています。ここから、もういちど立ち直れるでしょうか。夢と安心を、みんなして高齢者に取り返してやってください。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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