広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成27年3月号 

★人権さまざま★ 119

   世界の人権が十分に守られるように、国連は、たえず監視を続けています。差別撤廃委員会が設けられ、今から十年前には、「日本国にまだ存在している同和問題を早く解消するように」という勧告を受けたことがありました。インド周辺国のカースト制度も、同じ時期に同じ勧告を受けたことでした。

 そしてまた今、日本に新しい勧告がなされました。それは、ここ数年来世界各地で問題となっている「ヘイトスピーチ」を法律で禁止するよう、政府への申し入れが行われたのです。

 ヘイトスピーチとは、人種、宗教、性別などに対する差別・偏見に基づく憎悪(ヘイト)を表す表現行為のこと、とされています。「憎悪表現」と訳されていますが、憎悪宣伝、差別的表現、差別表現などともいわれ、訳語は統一されていません。

 在日は本国に帰れ、ゴキブリシナ人を殺せ、犯罪フィリピン人をたたき出せ、・・・・・・様々の悪口雑言のシュプレヒコールで、特定の国や民族を公然と差別表現しながら、デモ行進をしたりする行為が、このごろの大都会でみられたりしているのです。

 これについて、法で取り締まり、止めさせよと国連はいいますが、事は簡単ではありません。

 ご承知のように、憲法は「表現の自由」を掲げています。

 アメリカなどでも、このことがしばしば取り上げられ、裁判沙汰となっていますが、判決の多くは、「表現の自由」に軍配が上げられているようです。

 日本では、京都市において、朝鮮学校と市民の間での裁判で「在日特権を許さない」と訴えがありましたが、朝鮮学校側の教育を妨害したとして有罪となったり、名誉毀損の不法行為が人種差別に該当するとして損害賠償請求を認めるという判決がなされています。そのいずれでも、新しい法律制定は必要としなくて、現行の刑事法、民事法で判決がなされています。

 首相も昨年の参院での質問に「一部の国、民族を排除する言動は極めて遺憾。日本人は和を重んじ、排他的国民ではなかったはず。どんなときも、礼儀正しく、寛容で謙虚でなければ・・・・・・」と答弁しています。 表現の自由はどんなことがあっても枉げるわけにはいきません。しかし、何を言っても自由だということとはちがいます。よく理解してほしい問題です。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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