広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成26年8月号 

★人権さまざま★ 112

   6月1 日、広島県詩人会の招きで「現代詩と人権」と題し講演をしました。幡多方言作品も朗読してと言われ、私の旧作「食べなかったお弁当」という詩を朗読しました。今回はその作品を載せさせて戴きます。

 大方町の六年生を連れて広島への修学旅行で、平和記念館に入った時の様子を、私の詩集『黒潮の民』にのせたものです。

 ムギに、ダイズに、・・・・・・コメ、のまぜご飯。
 副食はヤマイモ、せん切りダイコン、山や竹やぶを開墾して自分で穫ったがじゃと。
 こんな粗末なもんが、最高のごちそうじゃったって!
 今頃、こんなもん、ニワトリじゃち、喰わんぜよ。毎日、まいにち、なんぼか腹が減ったろうネヤ。
 昼休みの、この、ごちそう、を、
 待ちかねたろうネヤ。
 そんでも、
 一瞬!
 だったがやね。
 あの日、食べもせんとのこった、黒こげの、木炭になった、べんとう。センセイ、シゲルくんはボクらより一つ歳上ながやネ。あれからちびっとも歳とっちょらんがやネ。あれからもずーっと喰うちょらんけん、
 生長がとまったまんまがじゃなかろうかネ。
 こんなことで、なまえ、と、べんとうだけがのこっちょるじゃなんて。
 土佐の過疎地の山村からやって来た修学旅行 あれから五十年後の飢えを知らない六年生らは一瞬のうちに炭化して持ち主を消してしまった 
 弁当缶の前をなかなか離れなかった

 ―折免滋― 広島県立第二中学校一年生の弁当缶。

 平和記念館をでて明るい日射しの公園のベンチに来てホテルの用意してくれた都会の弁当を前に芽衣も 莉緒も 新太も 煌も かほも ゆうかも だいきも りょうも ミサキも タケヒロも アキトも サワもいつだってひょうきんな卓士までも総勢十三名のクラスみんな黙り込んで だれひとり包みをひらくことさえ わすれてしまった。

 会場には、折免くんと遊んだという詩人らもいて、涙ながらに当時を聞かせてくれました。現地に行くと、戦争が生々しくよみがえってきます。(掲載のため作品を改行しました。興味のある方は詩集をぜひ読んでみてください。)。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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