広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成25年6月号 

★人権さまざま★ 98

   源氏物語を何とか読み切りたいと、一念発起し、読み始めて一年が過ぎましたが、まだ三分の一が残っています。仲々です。

 それでもやはりこの本は世界最高の物語だと改めて感じることができました。主人公光源氏は超一流のイケメンで、顔立ちだけでなく、頭脳、芸術的センス、どこをとっても一級品です。あの時代の権力の頂点にいた御堂関白藤原道長がモデルで、作者紫式部の恋人でもありパトロンだったといわれています。

 当時の貴族社会が手に取るように記録され、登場人物が多く覚えるのが大変です。はなやかな貴族社会の裏と表、光と影にうろたえる人々がよく著されて感動です。また、きらびやかで美しい平安の京の都も、一歩外に出れば怖ろしさに震える世界であったことがよく解ります。

 鬼がさかんに出没?したのもこの時代からです。地獄極楽の世界が本(往生要集)に書かれ、庶民一般にまで地獄の怖ろしさが伝わってもいきました。鬼遣(追儺)とよばれる節分の豆まき行事が、今に続く伝統にもなりました。

 鬼はすぐ近くにいて、特に、権力者たちを苦しめました。

 人々は人を呪い、死ぬことも、原因不明の流行病も、鬼や呪った相手が原因だと考えました。

 鬼に対抗する力をもった役人ができました。陰陽師と言います。中でも安倍晴明という陰陽師を道長は重用しました。

 陰陽師は、一日のこと、一年のこと、すべての吉凶を占い、指示を授けました。出かける方角の善し悪しや、踏み出す一歩にまで決め事がありました。

 貴族たちは政敵を鬼と呼び、無実の罪に陥れ、島流しにし、鬼は雷になって貴族たちを脅かしました。人々はそれを「神」と呼ぶことにして、雷神のお社まで作って祀りました。

 晴明は、八十五歳まで生きて、影の権力を維持し続けたそうです。今では易占いのような、当たるも当たらぬも八卦といえるようなことに、政策さえも左右された時代であったようです。

 鬼も地獄も全てわが心の中から生み出されたものだったのではないでしょうか。

 あの時代、最高の頭脳や思想の持ち主光源氏の苦悩の人生の物語は、それゆえにこそ最高の作品といえるようでもあります。.今もボツリボツリと読みすすめているところです。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

▲ Back
Copyright Shimanto-City Office All Rights Reserved