広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成25年4月号 

★人権さまざま★ 96

   国の敗戦を体験させられた私どもの世代は、戦争ほど愚かで人権無視の行為はないと考えています。それでも地球上から戦争の絶えたことはありません。戦場では人間のこころなどは、怒りや恐怖によってすっ飛んでしまい、どんなに訓練された兵士でも、思いもしなかった残虐行為に走り、戦争協定に違反することが当たり前になってしまうといわれます。

 ジョージア工科大学のアーキンズ博士は〈戦場ロボット〉を開発しようとしているそうです。「知的なロボットは戦場で人間よりも倫理的に行動できる」というのが博士の理論です。そのロボットは、人に操作されて動くのではなく、人間以上の知的能力を発揮して、絶対に間違わない自律的な考えを身に付けて行動するのだそうです。自分を守るという本能に左右されることなく、怒りや無謀さという感情とは無縁に造られるので、いかなる場合でもこころが傷つくこともありません。

 アメリカの陸軍軍医司令部の調査によると、イラクに派遣された兵隊の中で、民間人には尊厳と敬意をもって接するべきだと答えたのは、半数にも満たなかっただけでなく、十七%の者が、民間人はすべて反乱者として扱うべきだと驚くべき解答をしたといいます。また三分の一以上が、拷問も必要だと答え、仲間を失った悲しみや、死体を運ぶ辛さの苦痛を受けた兵隊ほど、民間人を虐待したケースが多いと調査は示しています。

 そんな人間の弱さも、こころを読みとることができるロボットを造り出したなら、兵隊たちよりも倫理的に任務を果たせることとなるし、そんな能力をもったロボットを造ることは不可能ではないと、他の大学教授も多く賛同しています。その中の一人であるタフト大学の哲学者デネット教授も、「ロボットを造ることは難しいことではない。しかし、倫理的な判断まで機械にさせてしまうことは、生身の人間の良心はどうなるのだろうか。機械以下でしかない人間の尊厳とは一体何だろうか」とも心配しています。

 以前、人のこころを読みとるアトムというロボットがテレビで大人気でしたが、実際にそんなものができたとなると、人間は地球上に全くいらないのではないかと、情けなくて、泣きたくなってしまいます。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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