広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成24年8月号 

★人権さまざま★ 88

   「忘れられる権利」という、今まで聞いたことの無い権利が話題になっているようです。

 話は、世界中を猛烈な速さで駆け巡っているインターネットのことです。今は、地球上何処に行っても、あらゆる事柄が瞬時に伝わってしまう世の中で、「鎖国」も秘密もなり立ちません。公私の区別なく、あらゆる場所にあなたや社会の噂が広がっていく時代だといえます。

 インターネットで自分の名前を調べたら、自分も知らないこと、とっくに忘れてしまっていることでさえ教えてくれるほどです。特に、自分としては忘れて欲しいと願っている事柄が、ネット上に真っ裸でさらされてしまうことも当たり前の状況なのです。が、そのことのために、日夜苦しんでいる人が居るとなると、放ってはおけません。

 いいことで有名になるのならまだしも、隠しておきたいことがあからさまになってしまうことは許しがたく耐えがたいものだと思います。

 Aさんは、ふとしたことで過去の思い出話や会社でのことをインターネット(ツイッター)でつい出してしまったばかりに、仲間からバッシングを受け、会社へも行けなくなりました。Bさんは、10代のころ酒を飲んだことをあばかれて、内定を取り消しにされてもいます。若い女性Cさんは、キャバクラで働いた過去が写真と共に掲載され困りはてています。……数えればきりがありません。

 一度ネットに載ってしまったら、秒速単位で、10万、 0万の人々に伝わっていきます。人の噂も七十五日、といったのは昔のこと、噂の渦の中から抜け出せないばかりか、発信元がどこのだれかも分からないために、対処の方法がみつかりません。

 プライバシーの侵害ではないのか、という意見と、どんな事柄でも、公表してもいいのだという「表現の自由」の問題とが絡み合って、まだ解決できていないのが世界の現状です。

 過去に侵した前科があっても立派に更正している人を、もう一度暴く必要などありません。

 インターネットという今世紀最大の文明を、まちがいなく使いこなせるためには、人類はもう一歩前に踏み出せる人権意識を持つことが必要になっている時代だといえないでしょうか。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

▲ Back
Copyright Shimanto-City Office All Rights Reserved