広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成24年6月号 

★人権さまざま★ 86

   いつか必ずやって来るという南海地震の津波の高さの報道に息をのみました。黒潮町の周辺で34メートルを超えるという。「日本沈没ではないか」と呻くしかありませんでした。まったくの素人でしかない私などは、他人の言をただ鵜呑みにしてうろうろするだけの能力しかありません。情けない有り様です。

 どうすればいいのだろうか。と、不安に悩む私に一大ヒントを授けてくださるものがあることに気付きました。それは、自分の身近な歴史を学び直すことでした。歴史といえば教科書に出てくる日本史・世界史も大切には違いありませんが、それは学生たちにまかせておくことにし、私の手にしたのは『中村市史』(西土佐村史、大方町史など)です。(もしもお手元にあるならば開いてみてください。たまげる程厖大な本で、わが家では長いこと本棚の隅で埃をかぶったままになっていました)

 中村市史は正・続二巻。正編は昭和39年市制十周年を契機に編纂に着手、昭和44年発刊と当時の長谷川市長の挨拶文にあります。全1206頁。続編は市制30周年記念に、2年数ヶ月かけて編纂、1250余頁。気の遠くなるような歳月を経て、先人たちの智慧と知識、経験の数々が網羅されています。

 全てを一気に読み通すことは仲々ですので、私は両編とも机の上に広げっ放しにして折をみては読むことにしています。

 今の関心事は、市民たちが災害とどう闘ってきたかということや同和問題を中心にした人権の歴史です。とうの昔に知っていたと思う事柄でも改めて読むと全く新しい出来事として胸に響いてきます。いまの私の最大の愛読書といえます。

 中村は大昔から、水害や地震、また大火事などに見舞われた街のようです。いずれの災害もわれわれの暮らしを根こそぎ奪い去って行きました。その度に市民たちはくじ挫けず立ち上がり、明日に向かって生きて来ました。数々の失敗や愚かな間違いもしてきたようでもあります。人権意識も同じです。非の打ち所がなかった訳ではありません。失敗を乗り越えてきたからこその今日があることを肝に銘じ、過ちを繰り返さないやり方を市史から学ぼうではありませんか。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

▲ Back
Copyright Shimanto-City Office All Rights Reserved