広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成24年5月号 

★人権さまざま★ 85

   世界から今、熱い視線を向けられている国にブータン王国があります。ヒマラヤ山脈の南麓にある小さな仏教国です。

 昨年、新婚まもない第四代ワンチェク国王夫妻が東日本大震災の被災地を訪れ、日本を励ましてくださったニュースは記憶にまだ新しくのこっています。

 かつて、即位まもない国王(当時まだ16歳)が、ブータンの将来について提案されたのは、「国民総生産(GNP)ではなく、国民総幸福量(GNH)を国家の目標にする」という内容でした。しかしこの事実は1986年に英国のフィナンシャル・タイムスの記者が報道するまで、世界にはほとんど知られていないものでした。徐々に各国に浸透し、最近ではイギリス、フランスなどの政府でも、真剣に政治課題として議論され、わが国でも口にする政治家も現れてきました。

 ブータンの人口はわずか70万人、日本の小さな県と同じくらいで、面積は九州程度といいます。購買力(GDP)は名目で12万円しかなく、貧しい国の一つでもあります。ヨーロッパ諸国の10の1の収入ですが、レスター大学の調査によると、ブータンの幸福度は世界178ヵ国中で12位。ヨーロッパ先進国にひけを取らない高さだといわれています。

 今さらながら、人間の幸福とは、物や金では無いことをこの国のやり方が示しているとも言えそうです。

 あの高度成長期、わが国でも、物や金に勝るものは無いかのように、人を人とも思わぬ風潮を生み、「情緒系欲望の時代」といわれましたが、その逆の生き方ともいえる国策を展開している国のようにも思います。

 隣近所が一家族、飲み食いや寝泊まりも伸びやかで、新所帯には地域共同で立派な住居を建築するなど、今の日本では考えもつかないような近隣社会の建設に国をあげて取り組み、禁煙国家であるばかりか、トンネル建設、樹木の伐採なども禁止され、大自然の保全に万全を尽くしてもいます。ただ、民族間の対立、難民問題等をも多く抱えてもいるようです。

 いくつかの欠陥もあるかとは思いますが、いつかブータンに行ってみたい、そんな気がしているところです。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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