広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成24年1月号 

★人権さまざま★ 81

   3月11日の、あの東北大震災は、忘れることが出来ません。

 あれから八ヶ月を経た現在も、傷口はふさがるどころか、ますます広がっているかのようにも感じたりしています。

 東京の詩誌出版社「コールサック社」の依頼で、アンソロジー詩集『命が危ない』に、私も作品を発表いたしました。

 11月12日、全国、311人の詩人たちの原稿をまとめた出版記念会が開催されました。全員集合とはなりませんでしたが、会場の東洋大学は、老若男女の熱気に湧き返りました。
 東北現地からの、詩人たちの体験が、生々しく報告されましたが、自然災害に関することよりも、その後の原発被害の方に詩人たちは怒りを爆発させていました。

 地震や津波は日本列島に住んでいる限り逃れられない宿命を背負っています。諦めるわけではありませんが、ある程度覚悟を決めて、どうしたら被害を最小限度に食い止められるかを考えればいいのですが、原発被害はいわば人災です。人間の手で作り出したものに、人間自身の首を絞められるのは、どう考えても不合理だと思います。

 そんな意味合いを込めて、私も舞台上で、自作品を朗読し、スピーチもいたしました。

 会場では一人の女性詩人「うおずみ千尋さん」と初めて言葉を交わしました。一九四四年生まれだそうですが、一九九八年以来、目が全く見えなくなったといいます。それでもその後も三冊もの詩集を発行し、現在も中央誌に作品を書き続けています。幼い頃からの盲人ではありませんので、点字ではなく普通のパソコンで詩を書くのだといいます。生まれはあの福島県で、現在は金沢市に一人暮らしだそうです。わが子には一切頼らず、読書ボランティアに本を読んでもらって、詩作を続けているのだと聞きました。

 ふるさとは、今回、壊滅的な被害を受けたけれど、「過ぎたことは振り返らない。他人は羨まない。出来ないことは遠慮なく人に頼む」というのが生きるモットーだそうです。

 また一人、真似の出来ない生き方の詩人を知ることができた感動の旅になりました。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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