広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成23年11月号 

★人権さまざま★79

   テレビやラジオからは、日ごと夜ごと音楽が流れ、町なかでもどこからともなく歌声が聞こえてきます。まことに平和そのものです。でも、次から次へと新しい曲があふれすぎて、なかなか覚えきれません。そんなとき私には、つい口をついて出てくる好きな歌があります。「ぞうさんのうた」です。

    ぞうさん
    ぞうさん
    おはなが ながいのね
     そうよ
     かあさんも ながいのよ

    ぞうさん
    ぞうさん
    だれが すきなの
     あのね
     かあさんが すきなのよ

 ご存知、まどみちおさんの書かれた詩です。今からちょうど50年前に團伊玖磨作曲で、全国津々浦々に広がっていきました。歌いやすく誰にでも親しみを覚えるメロディーとはいえ、どうしてこんなに人々に愛されたのでしょうか。

 動物園に行けば、必ずお目当てで会いに行くあの巨大な象は、人気ナンバーワンの動物です。(パンダなんかに負けません)。大きいくせにやさしくて細い目、小っちゃな尻尾など、どことなく愛嬌があります。何より鼻が長く、そこから飲食物を取り込むのも普通ではありません。謎に満ちた不思議な存在に、珍しくもあると同時になんだかおかしくて、ややからかい半分の眼差しを向けてしまうのが通常のようです。

 さりげなく表現されている「おはながながいのね」の言葉には、そんな全ての意味が込められていると思います。それに対して小さな子どもの象は胸を張ってこたえるのです。「そうよ かあさんもながいのよ」。

 子象にとっては、人々の蔑みの言葉や眼差しなど全く気になりません。むしろ、この世で一番大好きな母さんと自分はそっくりなのだと、自信をもってこたえています。この母と子の関係をみごとに示した深い言葉が、半世紀も歌い継がれている原点だと考えます。今年満百歳の、まどさんの詩は、どれをとってもこうした味わいにみちたコトバで創られています。

 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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