広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成23年6月号 

★人権さまざま★74

   3月11日の東日本大震災は、大自然の怖ろしさをまざまざと見せつけられた思いでした。揺れ方も津波の襲来も全く予想してなかったことといいます。見くびっていたとは思いませんが、どこかに油断があったのかと疑いたくもなっています。

 日本列島は地震列島ともいわれています。敗戦一年後の南海大震災は四万十市民の大半の方がまだ記憶に新しいことでしょう。それだけに対策もぬかりないものと信じています。東北の方々だって、記憶し伝えてきていたことではあったでしょうが、今回は無残な地獄の惨状を味わうこととなってしまい、返す返すも残念でなりません。

 わが地区にも昔からの言い伝えが遺っています。時には笑いとばすホラ話めいたのもありますが、ホラにも真実がひそんでいる場合も少なくありません。

 最古の地震記録は白鳳地震といいます。西暦684年11月29日、黒田郷里など、157ヘクタールが流失したとあります。マグニチュード8・4と推定。その地を辛うじて逃れてきたという一族の末裔が、今も近所に暮らしていて、その時のことを伝えてきています。

「ここのクビッチョに鰹がかかっちょった」という話もあります。ホラにはまちがいないはずですが、通る度にその津波のことが頭をよぎります。東北のことを考えると、眉唾だなどと笑うまえに、何故そんな話があるのだろうかと想像することも大切ではないでしょうか。

 中村市史はとても参考になります。昭和39年から59年にかけて上下2巻に纏めた立派な記録で、先人達が心血を注いで作り上げたものです。時には繙いてみて、必ずやって来る次の災害に備えてほしいものです。

 私は今、各地で「あなたの曾祖父母の名前を知ろう」と語りかけています。また、できればその生涯のエピソードや業績なども、知っている全てを子どもや孫に伝えてと頼んでいます。古い迷信から抜けきるのは絶対必要ですが、各地に遺る記録、体験を振り返って、我が家に伝わる話や歴史を言い伝えてほしいと願っています。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

▲ Back
Copyright Shimanto-City Office All Rights Reserved