広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成23年2月号 

★人権さまざま★70

   郷土の誇る思想家幸徳秋水が刑死されてちょうど百年という節目の年を迎えました。市発行の広報はもちろん、正月の高知新聞でも大々的に報道され十分ご承知のことと思います。

 秋水の偉大さは枚挙に遑がありませんが、何よりも日露戦争反対を貫いたこと、しかもその半世紀後に起きる日本の敗戦までも見通していたことなどはまことに驚くばかりです。それだけの透徹した洞察力の持ち主であったがために、時の権力者にとっては、折あらば抹殺したいと手ぐすね引いていたに違いありません。そのあげく、有りもしない事件をでっち上げ、命までも奪ってしまった権力というものに、身震いいたします。その作られた罪は、百年を経た今も改められてはおりません。誰が考えても大逆事件は、「冤罪」によるものであったことは明白な事実です。明治という時代だったので仕方がなかったのではなく、真実を知っていた人は当時でも少なくなかったと歴史は教えています。今はどうでしょうか。絶対にあり得ない事件だと思いたいのですが、そんなに甘くはありません。

 つい先頃、厚労省の村木さんの事件を忘れている人はいないでしょう。あいつを罪に落とそうと、権力者たちがわざわざ仕組んだことだったのだと、今では判明しています。

 民主主義のもとに自由や権利の考え方が浸透していると考えられているわが国でさえそうですから、権力をむき出しにしたり、偏った思想をごり押しするといわれている外国に例を求めるならば、それこそこの程度のことはゴマンと存在しているようです。今や世界の経済大国を歩む中国の天安門事件の無差別発砲。反対した人々の言論封殺、投獄や亡命、加えてノーベル平和賞までも踏みにじるやり方を、いやというほどみせらました。また、ミャンマーのアウンサンスーチーさんの長い長い自宅軟禁等々、数えればきりがありません。

 秋水刑死百年を機に、人権の思想が、国の内外でしっかりと守られていくよう、目を見開いていきたいと考えています。

 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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