広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成22年8月号 

★人権さまざま★64

   戦後の平和憲法が最重要課題としたのは、人権の尊重です。私の勤めた小学校でも、このことには全員で取り組みました。けれども、教科書も授業も特別には設定されていませんでした。私たちはそれぞれに、教材を探してきて、いつ、どこで、どのように重点的な授業ができるか、研究を重ねたものでした。

 何より短時間で、集中して、子ども達自身の問題として「考えさせる授業」を目指しました。小学校の一時間は40.45分です。その間に、効率よく目的を達成させるために、私が好んで使用した物語の一つをここに紹介したいと思います。

 以下は「だからわるい」と題されたオセーエワの作品です。

 『一ぴきの犬が、体をまえにかがめて、はげしくほえたてています。そのすぐはなさきに、かきねにぴたりと体をよせて、一ぴきの小ねこが、毛をさかだててふるえています。かーっと口をあけ、ニャーオ、ニャーオとないています。すぐそばに、ふたりの男の子がたって、どうなることかとみていました。

 まどから、それをのぞいていた女の人が、とぶようにして、かいだんからかけおりてきました。女の人は、犬をおっぱらうと、男の子たちをしかりつけました。「あんたたち、はずかしくないの!」「どうして、はずかしいの?ぼくたち、なにもしていないよ」

 男の子たちは、びっくりしたように、いいました。「だから、わるいのですよ!」女の人は、まっかにおこっていいました。』

 これが全文です。小学校高学年が対象です。まずは「読む」ことへの抵抗をなくさせ、どの子でも読みとることが出来ることを考えました。次に、登場人物のそれぞれを考え、討論をさせて、おしまいは、「きみならどうするか」を、一人ひとりの胸に刻ませるようにしました。

 決して、無理矢理に教え込まない授業をと心がけました。

 この欄も、筆者としては授業の教材に耐えられるような内容をと、毎号心がけているつもりですが、如何でしょうか。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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