広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成22年3月号 

★人権さまざま★59
   テレビが各家庭に普及しはじめたころ、一億総白痴化とか、電気紙芝居だとか、揶揄された言葉をよく聞いたものでした。

 その後のテレビの発達はまさに日進月歩、今では、なくてはならない文明の利器となっています。私もご多分にもれずよく見ていますが、こんな場所に棲んでいても、居ながらにして、世界の、いや宇宙の状況までも手にとるように教えてくれるのは、誠にスゴイ、といわざるを得ません。

 中でも失われた文明や歴史の番組などは大好きです。

 古代エジプト、インド、中国、インカなどの、滅びたり滅ぼされたりした民族の状況は心に強く迫ってきます。インカの天空都市マチュピチュとか、ナスカの地上絵などはいつ見ても 飽きることがありません。

 同時に、われわれの現在生きている文明社会も、いつ、何時、同じ運命に晒されるのか、またものの考え方も、根本的に否定されたり、変更されたりすることがあるのだろうかと、考えさせられるのは、私だけではないだろうと思います。

 インカに伝わる神話をひとつご紹介してみます。
 『昔、インカで山火事がありました。動物たちは、火の手をさけて、一斉に逃げだしました。が、小鳥のクリキンリだけは、くちばしに水をふくんでは、飛んでゆき、火事の炎の上にそそぎました。動物たちは、ムダなことをと笑いました。あざ笑う動物たちにクリキンリは答えました。
(ワタシは自分にできることをしているだけだ……)と』。

 この話は、何だかこの欄を担当している自分に似てはいないだろうかと思いました。こんな小さな内容で、果たして人権問題の神髄に触れられるものだろうか。そのうえ、あなたはまちがっているといわれる日も来そうな気もします。読者の中にも、まどろこしくて苛々している方もいるかも知れません。

 でも、私にできるのはたったのこれだけです。

 いつかあらたなクリキンリが現れて、よりよい明日へとつながる人権をおし進めてくれると信じながら、今日もペンを走らせてみたところです。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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