広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成22年1月号 

★人権さまざま★57
   去る11月に報道されたアメリカ軍基地内での銃乱射殺人事件には誰もが驚いたことと思います。よその国の事とはいえ、私も少なからぬ衝撃を受けると同時に、またか、という思いも重なって新聞を読みました。

 事件は精神科軍医少佐、39歳が銃を乱射し、兵士13人を射殺、30人が負傷したとのこと。少佐といえば軍隊でも幹部中の幹部クラス、しかも医師ともあろう人がなぜ?の疑問が大きく募ります。犯行の動機は分かりませんが、容疑者は、近くイラクかアフガニスタンに派遣される予定で、イスラム教徒でもあり、日ごろから軍内で受けている差別などから発砲したらしい。この事件には、オバマ大統領もショックを受け、来日の日程さえ変更してしまいました。

 アメリカにおける銃による犯罪は枚挙に遑(いとま)なく、中でも女性に対する暴力の頂点に銃社会がある、と聞いたことがあります。同人誌の仲間で、大先輩の大学教授石原武さんは英文学に造詣(ぞうけい)深い方ですが、仲間の会合でこんな話をしてくれました。
「アメリカの若者の多くは女性に対するコンプレックスを持つ者が多い。〈男らしさ〉を強調したいために性犯罪に走り、最後には銃に手を出す。女性が狂気の犠牲になるのに、アメリカでは慣れきってしまっている」とのことでした。

 冒頭の事件は軍隊や戦争忌避(きひ)、宗教が絡む事件で、女性問題は出てきませんが、民主主義のお手本と言われたアメリカの、暗い底辺に横たわる銃社会の悲劇がわかります。
 そんな犯罪のいくつかが、いつの間にか日本にも忍び寄って来ているようです。各地で起こるレイプ事件、通り魔、無差別殺人、清純派女優の麻薬汚染、……等々。麻薬はいま、芸能界のみならず学生にも、一説には中学校までも蝕(むしば)んでいると聞かされています。

 以前アメリカへの学校訪問で若い校長は、教育の理想を次のように話してくれました。
「あらゆる立場の子が、自分の能力を自覚し、他者との豊かな関係を築きながら夢に向かって挑戦するよう支援する」…と。そんな目標の達成に、銃は全く不要なはずと思うのですが…。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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