広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成21年8月号 

★人権さまざま★52
   人は哺乳類の仲間ですが、他の動物とくらべても、もう少し母親の胎内にいた方がいいのだそうです。(進化の過程で人が二足歩行を始めた結果、母体保護のため早産になったのだ、と動物学者はいいます。)

 動物には、生まれ落ちるとすぐに自力で立ち上がり、親と同じ行動ができるものも少なくありません。しかし、人の赤ん坊は、全くの無防備のまま、この世に生まれ出てくるわけです。育てる者にされるままに生きなければなりません。育てる親の(大人の)在り方の大切さが言われる所以です。

 そんな赤ん坊にも、生まれながらにして持っている欲望が存在するといわれます。本能ともいうべき欲望で、「基本的欲求」と名付けられています。

 まず、「愛情の欲求」です。たっぷりと愛されながら生きたいと誰もが思っているわけです。親は無条件に愛を注がなくてはなりません。愛することを割引したり、辛抱させたりしてはなりません。鍛錬とか訓練とかの名目で厳しくする必要もあると説く人もいますが、とんでもないこと。何よりも十分な愛情につつまれて育てられなければならないのです。

 つぎに、「承認の欲求」です。どの子も認めてほしいと願っています。「おお、よし、よし」といつも伝えてもらいたいのです。大声で意味もなく、ダメ!と喚かれては、育つものも育たないのではないでしょうか。

 続いて、「所属の欲求」です。きみは確実にわが家の子どもだと伝えてやらねばなりません。少し大きくなっていたずらでもしようものなら、昔の親たちの中には「出て行け」と怒鳴る人もいました。そんな時、逃げ込む場所のなかった子は、どんな傷つき方をし、どう乗り越える力をみつけたのでしょうか。

 「成就の欲求」というのもあります。してみたい、されてみたい、という願いを強く持っています。また「独立の欲求」、「新体験の欲求」などがあり、成就の欲求とあわせて考えてみれば、独りで、何かに挑戦したい心に満ちているといえます。

 赤ん坊はこれらの基本的な欲求が十分に満たされてよりよい自分への階段をもう一段のぼっていくと思います。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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