広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成21年4月号 

★人権さまざま★48
   解放出版社発行の『全国のあいつぐ差別事件』(二〇〇八年版)を読みました。

 相変わらずの事件が、二〇〇ページ近く掲載されています。わが高知県も例外ではなく、二〇件程。多くは中・高校生たちが賤称語を使って、相手と言い合う場面が取り上げられています。これは、教育の現場で直ちに事件に対応した結果なのかも知れません。

 落書きも多いそうです。最近ではインターネットで差別画像を発信するというものも出現しています。卑怯のきわみです。
 「知らなかったからつい…」というものではなく、「知っていて、わざわざ事を起こす」、確信犯ともいうべき犯罪です。

 差別解消のためとして、これまで私たちは、さまざまの誤った試みを重ねてきました。
 例えば「そこに差別される人がいるから」「その人たちを見えなくすればいい」とする時代もありました。
 部落の人や、在日外国人、障害者などが、目の前からいなくなれば、差別はなくなると考えたのです。そのため朝鮮半島の人々に「創氏改名」と称して「日本人」の姓名を名乗らせました。
 ハンセン病者を隔離して見えなくしてしまうこともしています。ナチスのユダヤ人撲滅政策も同じ考えだったと思います。どんな結末を来したかは、今更いうまでもないでしょう。

 みんなが同じになればいい、という人もいます。次の詩はどうでしょう。

    私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
    飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。
    私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
    あの鳴る鈴は私のやうに、たくさんな唄は知らないよ。
    鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。
                           金子みすず「私と小鳥と鈴」

 同和対策事業は部落の環境を改善し、教育や啓発によって、偏見や差別意識は、確実に減ってきました。それでも、完全になくなったのではないことを、この本は示しています。
 その場限りの「対策」ではないやり方が、今まさに大切です。

 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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