広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成20年10月号 

★人権さまざま★42
   独立60年を迎えたインドでは今も遺るカースト制に苦しむ人びとが多いといいます。四階層に区分されたヴァルナ「種姓」と呼ばれる身分制度に縛られた暮らしを何千年にもわたって続けています。中でも第五番目にあたる「ダリット」と称される最下層の人びとの悲惨さは大変な状態に置かれています。不可触民ともいわれ、その種の人に接触するとその人は穢れるばかりか法的な罪にとわれる事さえあるといいます。たとえば理髪店の主は不可触民と知らずに頭髪に触り、罪の浄めの儀式を受けない限り、自分の所属するカーストから追放されるなどということも珍しくないそうです。

 ダリットおよび周縁に追いやられた人びとは、カースト差別から自由になることなく、今も封建的な領主であるエリートたちに支配されています。インド人は植民地支配者を国外に追いやりましたが、ダリットを差別してきた支配者たちはずっと国内にいます。さらにダリット女性は家父長制の犠牲にもされてきました。女性たちはカーストと性別分業の二重の重荷に耐え、卑しめられ、その身体は、他のカーストの男たちが自由に支配できるとされています。あらゆる権利と機会を奪われ、経済や教育の構図の中で最底辺に置かれています。たとえ殺されても相手は軽犯罪として取り扱われ、動物の殺害と同等であると規定されているマヌ法典といわれるヒンドゥー教の教えもいまだに堂々と存在しています。ーそんなダリットに所属する人びとが一億六〇〇〇万人もいて、奴隷のように働かされ、幼子は餓死寸前に追いやられているとも聞きます。

 国連ではこれらのやり方を世系による差別としてインド政府に撤廃を迫るのですが、政権を持つ指導者たちは「そんな差別は、今、まったく存在しない」と主張しています。しかしながら、ダリットたちもそのまま泣き寝入りはしていません。国の制度改革に発言を求め、代表を国会の場に送り出す努力もしています。このレポートの提供者ブルナド・ファティマさんも、そうした闘う女性のリーダーとして、世界に訴えている女性の一人なのです。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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