広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成19年10月号 

★人権さまざま★30
   「地球にやさしい植物油」といわれ、テレビのコマーシャルでもよく見かけるパーム油のことはご存じでしょうか。アブラヤシの実から採れるこの油はその5割をマレーシアが、3割をインドネシアが生産しており、今や大豆を追い抜いて世界一の生産量を誇っているそうです。

 ところがこの急激な増産におびえるのが熱帯林に住む先住民たちです。なぜなら熱帯林を丸裸にして、たった一種類の木、アブラヤシだけを植え続けられているからです。一カ所の開発で最低3000ヘクタールもの面積が必要といわれるアブラヤシプランテーションは開発と近代化の名のもとに森林破壊が行われていて、多くの村が反対を表明し裁判闘争も展開しています。その抗議活動に警察が発砲したり、開発会社がギャングを雇って銃で脅し多くの死傷者が出た事件も頻発しています。23人もの村人が逮捕され、22人は正当防衛が認められ釈放されたという事件もありましたが、事情をうまく説明できなかった、耳も目も不自由な80代の男性が有罪となり、今も独房暮らしを強いられています。

 日本でパーム油が大量に使用されたのは1970年代発売のカップヌードルからといわれ、現在は年間50万トンを輸入、その9割がマーガリン、揚げ油、チョコやアイスクリームなどの食品部門に、残り1割が石けん、洗剤などに使われています。

 熱帯林を奪われた住民の多くは一家をあげてプランテーションの低賃金(月8000円程度)で生計を立て、子供たちは学校にも行けず、もちろん読み書きも出来ません。女たちは防具も無しにヤシの木の消毒に従事し、爪の変形をはじめ気管支炎、流産などの異常が頻発し失明した者さえいると聞きます。

 地球にやさしいとは何でしょうか。自分の周辺の者だけの自己満足だとすれば、なげかわしいことといわざるをえません。せめて、環境破壊や人権侵害を犯して作られた製品は買わないぞ、という心がまえで生きる日本人でありたいものと思うのですが、いかがでしょうか…。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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