広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成19年3月号 

★人権さまざま★23
   イソップの書かれたお話なら、どなたでも一つや二つはご存じでしょう。「ウサギとカメ」「北風と太陽」など、わが国では子供向けの絵本が多いかも知れませんが、本当は大人向けの教訓集で、およそ三五〇編の寓話が収められています。

 作者イソップ(ギリシャ名アイソポス)は紀元前六世紀ころ奴隷として実在した人で、最後は殺害されたとも聞きますが、詳しくはわからないそうです。

 奴隷といっても、今私たちが思い描くようなものではなく、戦争の捕虜や、盗賊に連れてこられた者で、彼もそんな一人だったようです。しかしながら、お話は奴隷側からのメッセージとしてだけでなく、この世に生きるすべての人々に通用する、万人向けの教訓を扱っていると思います。登場するのは動物が大半で、キツネは狡く、ロバは愚か者、ヘビは邪悪と、パターンが固定されているのが、現代には当てはまらないかも知れませんが、賢く生き残るたくさんの智慧を教えてくれる特徴を持っています。

 今回はその中から「オオカミと老女」をご紹介します。
『飢えたオオカミが食べ物を探して彷徨っていると子供を叱る老女の声を聞いた。「泣きやまないと、オオカミにやってしまうよ」。オオカミはその声を鵜呑みにして、長い間そこでじっと待っていた。ところが、夕暮れになった時、女が子供をあやしている声が聞こえてきた。
「オオカミが来たら、あいつを殺してやるからね」 オオカミは空きっ腹を抱え、「この家では、言うこととやることが別々だ」と言いながら立ち去った。』
 このお話を、作家で心理学者の樺旦純さんは次のように解説しています。

 ――私たちは好意を寄せている相手には、こちらにも好意を寄せてと願うものです。これを心理学では「好意の返報性」あるいは「互恵性」とよびます。でも、相手の反応が、見せかけである場合もあります。人は自分にとって好ましい情報を取り入れ、いやな情報は無視、または、勝手にねじ曲げてしまいがちです。「情報は賢く判断せよ」との教え――だと言っています。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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