広報しまんとコラム 「人が人らしく」  平成18年6月号 

★人権さまざま★14
   二〇〇四年七月、ユネスコの世界遺産に「紀伊山地の霊場と参詣道」が認定されました。

 この遺産登録をめぐっていささか問題点が持ち上がりました。それはこの文化遺産の範囲内に奈良県の「大峰山」が含まれていたからです。この山は、古くから女人禁制であったため、「世界文化遺産に登録するなら女人禁制を外せ」という署名運動が始められたのでした。
 禁制とは「或る行為をさしとめること。また、その法規」と広辞苑には出ています。つまり、ある特定の場所に、男性は入ることができるが、女性は入ることを許されないという制度を、「女人禁制」というのです。
 こうした女性を対象にした排除の制度は、宗教的理由や伝統文化として伝えられてきたものです。かつては羽黒山や比叡山などもそうでしたが今は無くなっています。酒造り、板前のような職業にも禁制の時代があったようです。大相撲の土俵にはまだそのしきたりが残っているため、女性である大阪府の太田知事は、大阪場所の優勝力士に賞品を手渡すことができません。
 なぜ、女性にだけこんなことがあったのでしょうか。その発生したわけとして、四つの意味づけが行われてきました。
「(1)血の穢れに対する不浄観、(2)仏教の戒律、(3)仏典に見える女性蔑視思想、(4)日本民族の本質に根ざすもの」等です。中でも「女性は血で穢れたもの」という思想は最も大きなものだったといえます。
 女性としては当然である生理(月経)や出産時の出血は、穢れたものの典型として考えられてきました。そのために、女性は男性よりも数段低いものとして、長く差別を受けてきたものと思われます。寺の門前に、「女人牛馬結界」と書かれ、女性は牛馬と同等に扱われた所もありました。(結界とは一定の区域を制限することです)。
 大峰山は、女人禁制のまま世界文化遺産に登録されました。しかしながら、奈良を中心として全国に広まった女人禁制撤廃運動は今も続けられています。「一カ所くらいそんな所があっても良いんじゃないか」という人もあるそうです。あなたなら、どうすればいいと考えますか。
 
   四万十市人権啓発講師   
         山本 衞
 

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